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今年は稲作の転機だ ①

減反中止の風が吹く  2009.1.4

昨年からアメリカ発の金融危機で経済界が不況と雇用で苦悩しているニュースが氾濫している。中越沖地震は柏崎の(株)リケンが自動車産業に深く組み込まれ重要な役割を果たしている事を知らしめたが、トヨタの赤字転落予想がリケンの大量解雇に直結してまた市民は驚いた。

経済界の苛立ちが補助金をガブ飲みしながら非効率な生産構造から抜け出せない農業に向かったのかも知れないが、減反中止の風が吹いてきた。政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が減反来年廃止を答申した。『減反を廃止して2009年中に生産者が自らの判断で品目や生産量を判断できる新たな需給システムを構築』するよう提案し、石破農相も1228日減反廃止を検討すると言明した。

猫の目農政の言葉がある。減反制度は2007年コメの需給調整、すなわち減反割り当てから農水省が手を引き農業団体(実質は農協)に委ねた時点で終わっている。需給調整の主体となった農協はコメ市場の機能を活用した需給調整ではなく、農水省がやってきた権力と金力(補助金)の手法をそのまま踏襲し、また農水省も新農政の理念を踏みにじるように生産割り当て目標を掲げ農協の応援をした。今年の春、東北農政局のポスター「作り過ぎはもったいない」の騒動の背景である。猫の目農政よりひどいマッチポンプ農政である。

2007年からの新農政「品目横断的経営安定対策」は認定農業者となる大規模経営を優遇し小農を政策対象から外し、減反参加者は手厚い保護を加え一方で減反不参加の自由作付け権利を認めている。農業者は大小を問わず減反をするか、しないかの基本の選択が保障されているのである。この事を知っている農業者はほとんどいない。「作り過ぎはもったいない」のポスターはあっても「減反か自由作付けの選択制度」のポスターはない。

規制改革会議が生産者は自らの判断で品目や生産量を判断できる新たな需給システムの構築を提案しなくても、また石破農相が減反廃止の検討をしなくても「減反か自由作付けの選択制度」のポスターを作り全国にばら撒くだけで足りるのである。

自由作付けが違法でないと知ったとき何が起こるか。政策対象から除外された大多数を占める小農は全耕地に作付けし、激しい市場競争を見越した大農はコスト削減のため全面作付けで勝ち残りを図るだろう。長期的な需給均衡のため先ず過剰供給の米価下落は必至である。

米価の下落は小農と稲作不適地を淘汰する。生き残った稲作適地と優れた経営者は米価が底打ちした時、再生産が可能でかつ利益の出る商売として旨味のある稲作経営が出来る。国産コメを食べたい消費者がいる以上米価は底打ちする。

このようにコスト競争力のある稲作、「次世代稲作」を消費者は望んでいるである。政府は「次世代稲作」の担い手を農業者と限定していない。企業であろうが農業未経験者であろうが市場競争で「次世代稲作経営者」を選び出そうとしているのである。それが2007年から始まった「品目横断的経営安定対策」の狙いと見るべきだ。

参議院選挙で負けた自民党と揺れる政局が目先の農政を逆戻りさせたが、基本線は市場競争にある。刈羽砂丘の惨状は競争に敗れた象徴である。先手を取らなければ柏崎刈羽の美田が荒れた刈羽砂丘のようになる。

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