高騰するコシヒカリを考える
政府米コシヒカリの売却 2008.6.28.
昨年秋こめ価格の暴落を心配した政府は各産地から34万トンの新米を政府備蓄として買い上げ市場から隔離してコメ価格の維持を図った。一方でその頃から国際穀物価格の高騰が伝えられ、春には食用油や小麦粉の店頭価格が上りパン類も値上がりし始めた。反動で値上がりのしないコメがスーパー店頭で売れ行きが良くなった。
その頃コメの暴落を心配していた農水省と農協は20年産作付けの削減、いわゆる減反目標を達成するべくシャカリキになっていた。一方で米穀卸は売れ行きの良くなったコメの買い付けを急いでいた。事実コメ価格センターでは10月16772円12月19609円とコメが高騰し20年1月を最後に取引が終わった。全農にいがたの説明では売るコシヒカリが無くなったそうだ。
コメ価格センターで取引された合計は2826トンでありこれは全農にいがたの集荷量27万トンのわずか1%でしかない。99%は全農にいがたと米穀卸が話し合って決めるが、そのとき指標として使われるのがコメ価格センターの落札価格である。1%のコメを公開入札で価格を決め99%は非公開方式で決めるシステムは不透明であるが、売り手も買い手も都合が良いからか長く続き現在に至っている。
だが生産者にとって見えにくい仕組みではある。しかも売り手である全農にいがたはコメを生産者から買い切ったのではなく、販売を委託されたのであるだけになおさらである。価格リスクは生産者にある。
米穀卸は新米コシヒカリが出回る9月下旬までの売れ行きの見通して仕入れする。米穀卸の判断が仕入れ量の違いとなって数字で表れる。特に今年のように食料品全般が値上がりすればコメの売れ行きが良くなる。当然在庫の逼迫する米穀卸と在庫に余裕のある米穀卸が出来てくる。これが仲間取引と呼ばれる米穀卸相互の売買で調整され、ここで生まれる価格が仲間相場である。決められた取引所があるわけでなく相対取引だから価格は非公式で推定するしかない。
政府は売り手がなくなったコメ価格センターが機能不全になって価格動向がつかめなくなり、6月9日から隔週で昨年秋に市場隔離をした34万トンと17年産備蓄米の一部を売却しはじめた。先回に書いたが価格は一回目23112円、二回目23153円である。数量は一回目が700トン売却に6430トンの申し込み、2回目は1000トン売却に5327トン申し込みがあり5~9倍の競争である。したがって仲間相場はこの水準を上回って取引されている。
全国のコメの消費は約850万トンである。昨年秋に政府が34万トンを備蓄米として買い上げて市場から隔離したのはコメ価格の暴落を心配したからである。小麦粉や麺やパンが店頭から消えたわけでもないのに、コメ相場は暴騰している。コメの需要と供給の見通しは難しい。わずかな不足で暴騰しわずかな余りで暴落する。
政府は売却量を増やすだろうが高値が何時まで続くのか注目される。新米が出回る秋まで高値が続けば減反割り当ては説得力を失い21年産は実質的に自由作付け自由競争になるだろう。
それにしても今取引されている高いコメは、農家の販売委託を受けた全農にいがたが早々と売り切っているから、この利潤は流通業界だけを潤し生産者は蚊帳の外になる。農民と農協は考えるべきだし、ネクタイを締めた農業者が革新案を出せなければ、農業界の外から知恵が出るだろう。食糧生産の主導権は農業界を離れるかも・・・。
(ブログは新潟県刈羽柏崎を念頭にしているから全農にいがたの名称が出るが全体の構図である)
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