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2008年6月

高騰するコシヒカリを考える

政府米コシヒカリの売却 

2008.6.28.

昨年秋こめ価格の暴落を心配した政府は各産地から34万トンの新米を政府備蓄として買い上げ市場から隔離してコメ価格の維持を図った。一方でその頃から国際穀物価格の高騰が伝えられ、春には食用油や小麦粉の店頭価格が上りパン類も値上がりし始めた。反動で値上がりのしないコメがスーパー店頭で売れ行きが良くなった。

 その頃コメの暴落を心配していた農水省と農協は20年産作付けの削減、いわゆる減反目標を達成するべくシャカリキになっていた。一方で米穀卸は売れ行きの良くなったコメの買い付けを急いでいた。事実コメ価格センターでは10167721219609円とコメが高騰し201月を最後に取引が終わった。全農にいがたの説明では売るコシヒカリが無くなったそうだ。

コメ価格センターで取引された合計は2826トンでありこれは全農にいがたの集荷量27万トンのわずか1%でしかない。99%は全農にいがたと米穀卸が話し合って決めるが、そのとき指標として使われるのがコメ価格センターの落札価格である。1%のコメを公開入札で価格を決め99%は非公開方式で決めるシステムは不透明であるが、売り手も買い手も都合が良いからか長く続き現在に至っている。

だが生産者にとって見えにくい仕組みではある。しかも売り手である全農にいがたはコメを生産者から買い切ったのではなく、販売を委託されたのであるだけになおさらである。価格リスクは生産者にある。

米穀卸は新米コシヒカリが出回る9月下旬までの売れ行きの見通して仕入れする。米穀卸の判断が仕入れ量の違いとなって数字で表れる。特に今年のように食料品全般が値上がりすればコメの売れ行きが良くなる。当然在庫の逼迫する米穀卸と在庫に余裕のある米穀卸が出来てくる。これが仲間取引と呼ばれる米穀卸相互の売買で調整され、ここで生まれる価格が仲間相場である。決められた取引所があるわけでなく相対取引だから価格は非公式で推定するしかない。

政府は売り手がなくなったコメ価格センターが機能不全になって価格動向がつかめなくなり、69日から隔週で昨年秋に市場隔離をした34万トンと17年産備蓄米の一部を売却しはじめた。先回に書いたが価格は一回目23112円、二回目23153円である。数量は一回目が700トン売却に6430トンの申し込み、2回目は1000トン売却に5327トン申し込みがあり5~9倍の競争である。したがって仲間相場はこの水準を上回って取引されている。

 全国のコメの消費は約850万トンである。昨年秋に政府が34万トンを備蓄米として買い上げて市場から隔離したのはコメ価格の暴落を心配したからである。小麦粉や麺やパンが店頭から消えたわけでもないのに、コメ相場は暴騰している。コメの需要と供給の見通しは難しい。わずかな不足で暴騰しわずかな余りで暴落する。

政府は売却量を増やすだろうが高値が何時まで続くのか注目される。新米が出回る秋まで高値が続けば減反割り当ては説得力を失い21年産は実質的に自由作付け自由競争になるだろう。

 それにしても今取引されている高いコメは、農家の販売委託を受けた全農にいがたが早々と売り切っているから、この利潤は流通業界だけを潤し生産者は蚊帳の外になる。農民と農協は考えるべきだし、ネクタイを締めた農業者が革新案を出せなければ、農業界の外から知恵が出るだろう。食糧生産の主導権は農業界を離れるかも・・・。 

(ブログは新潟県刈羽柏崎を念頭にしているから全農にいがたの名称が出るが全体の構図である)

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あなたまかせのコメ価格

これで良いのか、コシヒカリの値段 2008.6.25.

緑の風が吹き渡る柏崎刈羽の稲作、50日たてば越路早生の刈入れが始まる。肥料など資材が値上がりして心配だが、コメの価格も上がっている。だが農家の手取りが増える保証はない。コシヒカリの価格が示す事は何か。越路早生をいくらで売るのか、農協と農家は一緒になって考える時だろう。  

*コシヒカリ仮渡金

18.8.13.  18年産   15000

   最終精算19.5.30. 16020

19.8.20.  19年産   10000

20.2.7.   追加①    3100円 13100

20.6.30.  追加②    1200円 14300

*価格センター入札

魚沼 9月 17002円  122トン

一般10月 16772円  367トン

  11月  なし    なし

  12月  19609円  734トン

  1月  18588円  1224トン  合計2325トン 

  以降、すべて売約となりコメ価格センター機能ストップ

*政府米

政府買入1911月   15924円 62011トン

政府売却2069日  23112円  700トン

政府売却20624日 23153円 1000トン

価格は稲作の問題を暗示している。

. 18年秋に農協に収めたコメの確定売上代金が205月末日である。

. 19年産仮渡金は33%の大幅値下げである。

. 12月入札(コメ価格センター)19609円の高値が付いているが、農家手取りは202月現在13100円でしかない。

. 1911月に政府が価格維持のため買い入れた価格が15924円。世界食糧状況が話題になるにつれコメの業者間相場は高くなり、政府は市場隔離したコメを放出した価格が23112円。昨日の入札は23153円で高値横ばい。

. 単純計算だが農家手取り10000円でスタートした19年産が時価23153円、差額13153円の内、農家のフトコロに入ったのは4300円。残り8853円は誰が分け合うのか。

「コメの作り過ぎはもったいない」と役人が知恵を絞り、農協が組織を挙げて生産調整に取り組んでも価格のコントロールは出来ない。価格形成のシステムの破壊と創造が必要だろう。そうでなければ新規参入農業者はこの枠外に活路を拓くだろう。

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農業が乗り越える壁 ①

激変する農業環境と現実   

2008.6.19.

エネルギー資源高や穀物相場の高騰が連日報道され、リン鉱石も中国が輸出規制し全農が肥料価格を1.5~2倍に引き上げると新聞は伝えている。肥料の3大要素である窒素・リン・カリウムの国際相場が高騰しているという。中国餃子事件で野菜栽培が見直されるムードだが肥料の値上げが先行する。トウモロコシなど穀物高の影響で飼料価格が肉・卵など畜産製品に先んじて値上がりし畜産経営を苦しめているが、稲作・畑作の広い範囲に同じパターンが広がろうとしている。

ガソリンが原油価格高騰に政治の不手際もあって乱高下して、ガソリンスタンドの廃業が加速し街のあちこちで閉鎖が目立つ。当事者は大変だが市場の競争原理が働いて走る自動車に見合った店舗数に再構成されるだろう。農業にはこの市場機能が働かない分野が多いだけに優良農家と駄農のふるい分けが出来ず農業の生産力が衰え自給率の更なる低下が懸念される。

具体的な状況を稲作で述べる。新潟コシヒカリ19年産は昨年秋10000円(1俵)の仮払価格で18年産15000円と差は5000円にもなり農家は暴落ショックを受けた。夏の参議院選挙で負けた政府はコメ余りの価格下落を恐れ34万トン買い入れて市場から隔離した。新潟コシヒカリは71000トンが対象になった。販売の見通しがついた全農にいがたは3100円を追加払いして農家の19年産コシヒカリ手取り価格は現在13100円である。

コメは農家から全農にいがたに販売委託され、コメ価格センターで入札されて売れる分と米穀卸と相対取引される分がある。窓口は全農にいがたである。コシヒカリは次第に値を上げ、今年1月コメ価格センターで18588円の落札を最後に入札はストップしている。全農にいがたは完売して売るコシヒカリが無くなったとの説明である。農家への仮渡価格と比較すると5488円高い。

年初から小麦関連商品が値上がりしコメに割安感がでて売れ行きが伸びていた。米穀業者は機敏に動き全農にあるコメを買い尽くした。コメの需要が逼迫して業者間取引が高過ぎると見たのか昨年市場隔離したコメを6月に一部売却した。コシヒカリは23112円と驚くべき高値で落札された。コシヒカリ仮渡価格と比べ10112円高く当初仮渡価格10000円の2倍である。

農家はこのような価格推移を他人事のように思って関心を持っていない。農協にコシヒカリの追加支払いの問い合わせもしない。コメの価格決定やコメ流通のメカニズムも知らない。食糧管理法の統制で価格決定に関与しなくても一生懸命働けば生活が保障された時代の習慣が抜けないのだ。その農民に向かってコストや経営を説いても仕方あるまい。野菜果樹など市場価格が売り上げ代金にすぐ反映するものは価格を経営の要因に組み込み作物の選定をする。

コメは全国農家の作物でありながら、減反政策に代表されるように市場から隔離されている。価格決定に参画しようともしない農民、その意識の低さに胡坐をかく農協、考えさせないで補助金をばら撒く事が選挙の票につながると信じる政治家。もはや食糧生産は農民の仕事ではないとする画策も始まっているようだ。

消費者と生産者が市場を仲立ちにして正面から向き合うシステムを作らないと稲作に合理性が生まれない。合理性のない不透明な職業を優秀な若者は嫌う。稲作の主役は70歳台であり5年後には引退するが後継者がいない。食糧を考える時の中核にこの問題がある。

原稿書き上げた所へコシヒカリ追加払い1200円の情報が入った。6月下旬に農家の通帳に入金されるが、これまでの仮渡金13100円と1200円で合計14100円になる。なぜ14100円なのか、さらなる追加見通しはどうか。政府売却価格23112円との差額が大きいだけに説明が注目される。なお政府コシヒカリの次回売却は624日である。

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柏崎市長選挙 ③

原発再稼動で対立軸を明らかに 2008.6.12.

柏崎市は財政危機で行政サービスの低下は避けられない、と会田市長がたびたび表明している。原発が止まって受け取った事業税の還付という予期せぬ支出さえある。長期財政見通しでは平成11年の原発再稼動を見込んでいるが、原発再稼動の予定表はあっても計画通りに進む性質の事柄ではない。原発建設計画がありながら白紙撤回した巻原発計画の例もある。だが現実の市政を担う会田市長は財政のつじつまを合わせなければならない。窮余の策が平成20年原発再稼動のよる税収の確保であろう。

ノドから手が出るほど欲しい原発関連税収と、伸び続ける電力販売を抱え一刻も早い原発再稼動を願う東京電力。しかも石油価格の高騰と二酸化炭素の環境問題も悩みのタネで再稼動予定表があっても不思議ではない。(情報漏えいの形で公表されるから企業体質だ、東電は相変わらずだとなる。再稼動行程表が出来ていなかったら電力供給責任を問われるべき事である)柏崎市と東京電力の願いは原発再稼動で完全に一致している、しかも出来るだけ早期に・・・。

 ただ乗り越えるべき山がある。原発運転の「安全と安心」である。反原発派は会田市長の有力な支持基盤であるが、原発反対の叫びはなく現実容認に傾き市長の原発早期再稼動にも異を唱えていない。会田選対幹部の話では国と東京電力と柏崎市(刈羽村・新潟県含)3者の信頼構築に向けて努力している、との事だけで「安全と安心」の具体的な条件は固まっていないようだ。信頼を裏切ったのは国であり東京電力である。裏切られたのは柏崎市である。認識がおかしい。

 桜井陣営は公式発表したものではないが、地震復旧、復興に対して公共インフラ(道路・学校・集会場・ガス・水道)の経費、焼く400億円は国で賄うべきとの主張があるようだ。

後援会広報を見る限り会田陣営も桜井陣営も震災復興をトップに置き、以下いろいろなキャッチフレーズを並べ原発をその中の一つとしているが、市民が一番知りたい事は新市長が原子力発電所とどう向き合い、原発立地の柏崎市として国に何を求めるかであろう。企業活動するにも生活するにも原発立地地域であることのリスクがある。企業はリスクに見合うリターンを求めるし、生活する市民は日常で原発と隣りあわせで住む不安の見返りを求めて当然である。

原発のある場所に住むリスクとは何か。たとえば「僕は結婚したら柏崎に住むけど原発があるんだ」とプロポーズした時、原発の一言がプラスかマイナスかと思案をめぐらす事ではないか。

 「安全と安心」について桜井話術でどの様に市民を口説くか説得するか、会田話術でどう語りかけるか、対立軸を鮮明にして欲しいのが市民の願いだろう。

原発を争点からはずした選挙などありえないしあってはならない。

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柏崎市長選挙②

分裂する自民党   

2008.6.4.

柏崎市に自民党支部が三つある。柏崎市と西山町と高柳町に会田陣営と桜井陣営はそれぞれの支部に推薦願いを出した。柏崎支部は桜井氏を推薦したが西山町と高柳町の両支部はいずれの推薦も見送った。自民党3支部の対応がバラバラになった事に11月の市長選挙の特徴が現れている。

自民党員のほとんどは会田氏に反原発の懸念を持っていないし、会田氏も原発早期再稼働が望ましいとの発言をしている。泉田知事が原発廃炉を選択肢として残しているのに比べ、会田市長の踏み込んだ発言は際立ち原発対応の輪郭が見え始めた。支持者である反原発派を陣営内の左の極に位置づけながら、保守層に食い込んで勢力を広げる事を選んだと言える。

桜井氏は柏崎支部の推薦を取り付けたとはいえ、合併で新しく市長選挙に一票を投ずる西山町と高柳町自民党がまとまらないのは、柏崎支部の自民党員も強力に一致団結できていないと想像できる。強固な支持基盤である商工業界を足場にしながら、農業者も含めた生活者に支持層を広げるいかなる原発政策を打ち出すか興味のあるところだ。

選挙戦のすべりだしとはいえ原発賛成・反対の伝統的構図は崩れた意味は大きい。柏崎刈羽原子力発電所に市政がどのような取り組み方をするのか、いまある現実を踏まえて市長選挙を争う候補者の政策、原発共生の仕方が争点になっている点に注目したい。

分かりやすい争点を掲げ市民の審判を仰ぐのは「原発再稼働」である。「安心と安全」は市民も政治家も東電も唱えている。だがそれぞれがそれぞれの思惑を持っている事を市民は知っている。会田色の安心と安全とは、桜井色の安心と安全とは・・と説明する選挙戦になると予想する。地域住民が納得し地域外の経済人に評価される「安心と安全」でなければならない。そして域外の人が住みたくなる柏崎になれたら最高である。新潟産業大学の調査によれば子供の気持ちは年齢とともに柏崎に住みたくない意識が強くなると発表された。貴重な調査であるが、この意識調査の突きつけているものは重い。

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